[MOVIE] キエシロフスキ／短い労働の日＠渋谷ユーロスペース

　人間ドックの午後を映画館で。キエシロフスキ特集をしているユーロスペー
ス。なんと、平日昼間と言うのに100人近い観客、最前列に近い席で鑑賞。
　ポーランドの監督と言うことで避けて通れない「連帯」の末路を描く。しかし
キエシロフスキは労働者側にも地方の党幹部側にも肩入れせず、と言うか、どち
らの側も人間臭く描く。つまり、どんな運動も一人ひとりの個人によってしか起
こり得ない。
　地方の党幹部は群衆の暴動寸前状態をなんとか抜け出すところで終わる。幹部
の男も一労働者としてのキャリアを積み上げて幹部になったエピソードが挿入さ
れ、一方群衆の労働者たちは裁判にかけられる風景。
　キエシロフスキの作品には希望に満ち溢れたメッセージなどない、しかし淡々
と歴史のあるがままを描いているからこそ、ドキュメンタリー映像作家として高
く評価されている。私たちはこの絶望的な現実を目の前にして何をすべきか？今
日のように、労働者の連帯すらもままならなず、自暴自棄な犯罪ばかりになって
しまった時代が良い訳もない。今の時代においても、キエシロフスキが突きつけ
る問題は依然として有効である。