[MOVIE] Lindsay Kemp Company's "Midsummer Night's Dream"

	真夏の夜の夢／リンゼイ・ケンプ・カンパニー＠ユーロスペース１

　リンゼイケンプによるシェイクスピアの現代的解釈劇。いや、そんな狭い定義
なんか軽く吹き飛ばす大胆でアヴァンギャルドな舞台表現の集大成。シェイクス
ピアと言えば英国中世そのもの、ロココとかゴシックとか、宮廷文化とか農民文
化とか、何が何やら分からない混沌。美醜が複雑に入り混じり、ギリシャ神話の
古代とシュールな現代とがメビウスの輪のようにねじれながら絡み合う。絡み合
う、と言えば、ここにはヘテロセクシャルもホモセクシャルも両方の愛があり、
それは一夜の夢として描かれる。お伽話とはかくも無邪気であり、またかくも子
供が見てはいけないよう猥雑さをも同時に併せ持つ。今回の来日でも生の舞台に
触れることはかなわなかったが、ここで見た映像でも十分に中世と現代のエキセ
ントリックな化学反応、あるいは西洋中世と日本の中世すなわち江戸時代との奇
妙なほどの符牒の合いっぷり＝分厚い白塗りは能面のようでもあり、またいかつ
い目元の化粧は歌舞伎のそれとそっくりだ、に目を奪われる。中世と日本の江戸
時代とがこれほどまでに似通っているのはただの偶然ではないのではないか。
　劇中劇でロミオとジュリエットが演じられる、これもまたシェイクスピアの代
表作だ。ところがこれが何ともマヌケなコメディに仕上がっており、ケンプのな
かなかの屈折解釈っぷりが楽しい。それはまた、シェイクスピアの奥深さでもあ
るのだろう。たわいのないストーリーだが、映像はとても刺激的で、何度見ても
飽きなそうな作品だ。
　それにしても、月曜からレイトショーだなんて、男子の観客が全然いませんで
した（笑）。てか、劇場で風邪薬を飲むのはヤメレ＞自分ｗ