From sana  Mon Apr  1 08:55:13 1996
Date: Mon, 1 Apr 1996 08:55:08 --900
From: sana (Cazou "ACID" Sanada)
Subject: [movie-fans:00179] haru

	ハル		森田芳光監督

  最初は、字幕だけで作られた映画のような錯覚をした（経験的には、サイレ
ント映画という比較にはならなかったが）。しかし、字幕映画に慣れているお
かげで、この映画に違和感を覚えなかったのだろう。

  確かに、スクリーン上の文章を追っかけなければならない、というのは苦痛
である（と、日に４０〜５０通のメールを読んでいる人が言えるセリフか？）。
しかし、セリフの過剰な作品に比べると、文字は言ってみれば手紙の復権であ
り、むしろ情緒的に思える。

  笑えるのは、メール文通している主人公の二人の素朴な感情に比べ、現実の
世界での恋愛（特に（ほし）の方）の方が屈折していて「オタクッぽい」こと
だった。思い出に閉じこもってしまう、と言う気質は、むしろ時代遅れ（と、
ネット通信していない人を決めつける気はないのだが）な人の方が強いのかも
しれない。

  実際問題、文字だけの交信で愛を育む家庭を物語にしようとというのだから、
２時間でも短すぎるくらい、いわゆる「急転回」というものがないのだから
（もちろん映画の構成としていくつかはあるが）。逆に、新幹線からお互いの
ハンカチを振る、と言うシーンはとても印象的だった。今の自由な世界でのオー
プンな恋愛感が広がる中で、唯一ロマンチシズムを感じられるのはこの遠距離
恋愛だけかもしれない（少なくとも個人的にはそう）。

  取り留めの無いことをいろいろ書いてしまったが、パソ通恋愛は浮き世離れ
した美男美女の物語よりもずっと身近に感じられる。そのことを不自然なく描
いている。好きな映画です。

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