[THEATER] 「夜明けに光をまとうもの」＠東池袋・シアターグリーン

　範田紗々ちゃんの舞台デビュー作を見に東池袋のシアターグリーンへ。昼間の
野暮用がこまごまと忙しく、荷物も増えて会場に着く頃にはお疲れモード
（汗）。シアターグリーンには１回来たことがあったけれど、それでも結構住宅
地奥にあり、道に迷います。２つ入口があり、もう一方では全く別のお芝居を
やっているので、間違えない様要注意。エレベータで５階へ。キャパは１５０〜
２００くらい。席に着いたけど、疲れてるので公演中寝ちゃったりしないか心配
^^;;
　物語の方は、幻想的でありながらもシリアス。と言うか、今の自分の気分にス
トレートど真ん中に刺さるお話、眠いどころではなかった（笑）。
　暗闇の中に浮かぶのは蛍光塗料で塗られた椅子とテーブル。証明がつくたびに
自在に登場人物が現れては消えるが、椅子とテーブルだけは転がったり倒れたり
しながらもずっとそこにある。
　白衣の人物、そしてパジャマ姿の人物のみ、どうやら心の病の患者を収容する
診療施設のようだ。シチュエーションの理解に時間がかかるのは、それが日常の
私たちの生活とは大きくかけ離れた“非日常”であるからだ。しかし登場人物た
ち自身にとってはウンザリなくらい退屈な日常的空間。と言うか、今の自分がま
さに、こうしたアヤシい宗教団体の修行施設のような場所に拉致されたら（最初
そう言う場所ではないかと推測した、つまり心の闇にスポットを当てて解決を試
みるシチュエーションですから）そのまま馴染んでしまいそうな、そんな心理状
態。そんなシチュエーションにどっぷりハマる。
　天使は目に見えない、概念としてだけ存在する、と巻さんは言うが、紗々ちゃ
ん演じる巻さんこそがまさに天使。それは希望のないことに対して真正面から抵
抗する姿勢だった。彼女が支える患者リーダーの、頼りなくも純粋な言葉と行動
が胸を打つ。まるで演じ手が自らの芝居によってセルフセラピーを行なっている
かのごとき説得力。
　公演終了後、ロビーに出ればいつもの笑顔の紗々ちゃんがお出迎え、なんだか
迷子になった子供がお母さんを見つけた時のように、緊張感のあるお芝居から解
き放たれた安堵感で胸が一杯になる。ちょっとまだディープな芝居の雰囲気を引
きずりながら雨に道を帰るが、それでもわずか一瞬でも希望の光を浴びることが
できたことに感謝。紗々ちゃん、明日の楽日もガンバって、また近いうちにこう
いういいお芝居に出会えることをお祈りしてます。