[MOVIE] カフカ/田舎医者@シネカノン有楽町2丁目


<2008.01.29(Tue)>
 雨の中、傘の骨が折れて使い物にならなくなるという最悪の夢のような出来
事。途中で捨てて、雨に濡れながらマリオンの手前に再開発で出来たビルの4階
へ。平日のレイトショーでしかも雨と来れば、空いていて当然、先ほどの厳しい
寒さから一転してゆったりと深い座席に座ってしばし和む。
 いわゆるジブリアニメとは対照的な、荒涼としていて、むしろ凛とした冷たさ
を感じさせる映像。本編の[田舎医者」の前に短編3本(「校長先生とクジラ」
「頭山」「年老いた鰐」「子供たちの形而上学」)。三味線をフィーチャーした
り、講談風のナレーションをつけたり(その一方でピーターバラカンのナレー
ションもあったが、それも基本和のテイストだった)、made in Japanを強く意
識させるのだが、個人的にはものすごく東欧的、例えばチェコアニメとかの影響
を強く感じてしまう。つまりジブリと正反対のベクトルを向いている、子供向け
なのに難解、アニメなのに臆面もなく暗さを前面に押し出した色彩とタッチ。
 何を目的にこの映画を観たか、と言えば、ローザの声を作家・金原ひとみさん
が挑戦していたから。しかし実際には途中数秒の声の出演だけで、しかもすぐに
ひとみさんと気づかなかった有様。だがとりあえず前評判で「作家が声優の仕事
なんてすべきじゃない」なんて意見もあったけど、他の声の出演も狂言師とか一
癖も二癖もある人たちばかり、そもそもが監督の山村浩二が日本のアニメ業界の
人とは距離を置いた仕事をしている様子だ(それはまたいい意味で宮崎駿の良き
ライバルなのだとも思うが)。
 まぁ声の出演者やら監督やら作品スタッフのことはどうでもいいと思った。と
にかくアニメをアキバカルチャーだと無邪気に信じ込んでいる人間には軽い
ショックを覚えさせてくれる深い作品。レイトショーとは言え、非常に短い作品
なので、寝るヒマもない(笑)。