ジーナＫ 渋谷イメージフォーラム SHUUBI主演

　月曜というのは遊び人に取っては一番ノラない日である、つまり週末の疲れが
残ってる日（苦笑）。いよいよ客先常駐も１か月を切り、後始末まで残り時間が
ないのに能率上がらないし優先順位もメチャクチャだ。この歳になっても仕事の
やり方がなっちゃいない、ちけっとも拒絶反応が強まるばかりで役に立たない。
でもこの方が人間臭い人生だ、という思いは確実にあったりする。
　一度映画に行きだすと、情報が集まるものだから次から次へと見たくなる。
SHUUBI嬢の主演映画が公開中ということで、ストーリーも知らずに一も二もなく
映画館に向かった。台風が来てて電車が止まるかもしれないというのに、こうい
う気持ちは抑えられないもんで。入場時には予告編がちょっと始まっていた。
　SHUUBIちゃんは現実でもミュージシャンな訳だが、その彼女が主人公、ジーナ
Ｋを演じる。しかも彼女の故郷、博多が舞台。とは言え、別に彼女の生立ちのノ
ンフィクションではなく、完全におとぎ話。福岡という街は面白い街で、シーナ
＆ロケッツ以来“カリスマ的”ロックミュージシャン（しかもその多くが女性ミ
ュージシャン！）を生み出す場所として知られている。むしろ私の場合、音楽的
嗜好以上にそうした“カリスマ”が生まれる過程に興味があって椎名林檎や川嶋
あいを追っかけてきた。彼女もその１人、だが彼女を福岡出身アーティストとし
て自覚的に聴いたことはない。彼女は今上げたアーティストたちほどのブレイク
は見せていない。しかし原石の輝きは彼女たちと全く遜色ないと思っている（い
やむしろ上でさえあると思う）。
　ストーリーとしてはストリップ劇場の支配人が彼女をカリスマ的ミュージシャ
ンに仕立てるべく興行的にドラマを用意する。おそらく現実のカリスマスターた
ちも多かれ少なかれこうしたドラマは作られているはずだ。だがもちろん彼女自
身のカリスマ的資質があっての話だ。支配人は女にだらしがないし、人格的にも
いろいろ問題があるが、そう言う人がこうしたカリスマの原石を見つけてくるの
だろうか。
　単館上映の作品なのに出演者も濃い人たちが脇を固める。母親役の石田えりも
鬼気迫るものがあるし、チンピラ役の永瀬正敏が見事だ。やはりテレビじゃこう
いうグロい作品はお目にかかれない。映画館に足を運ぶということは、テレビと
いう日常空間に忍び込ませてはならないグロさを体験しにいくことだ、とさえ思
えてくる。救いのない環境（宝くじに当たるがごとき幸運によって幸せになるこ
となんてのは幻想でしかない）だからこそ、登場人物たちの生へのエネルギーが
生きる勇気を与えてくれる映画。
　帰りの電車も方向が反対なためにガラガラ、みんなこんな日はまっすぐ家に帰
るのに、こんなことして遊んでる自分はやっぱりだらしない。でも自分の環境を
居心地よくすることはあまりにもがまんしなければならないことが多すぎる。