From sana  Tue Mar 12 09:05:26 1996
Date: Tue, 12 Mar 1996 09:05:16 --900
From: sana (Cazou "ACID" Sanada)
Subject: [movie-fans:00174] La Haine

	La Haine	憎しみ		produit par Matthieu Cassovitz

　世の中には好むと好まざるにかかわらず、理解できない嫌なことが起こる。
イスラエルの過激派テロ事件などその際たるものだが、恐らくそれは私達日本
人の多くはＴＶの中の絵空事のように受け止めている。しかし、身近にも訳の
分からない出来事は起こる。昨日帰りの電車で酔っ払ったチンピラどもにから
かわれた。悔しいって言うより悲しいよね、背広とネクタイだけで小心者のサ
ラリーマンと決め付けられて馬鹿にされるってのはさ。まぁ、勤め人の現実全
般にもこの手の不条理はそこら中に転がっていて、ちょっとこちらがナイーブ
になっていると容赦なくプレッシャーをかけてくる。これを書いている今は、
ちょうど人事異動発表の直前だったりする。

　個人的な話はさておき、フランス発のゲットー（パリでは「バンリュー」と
呼ばれている）の現実を描いた映画が日本上陸した。オープニングがいきなり
Bob Marleyのレゲエをバックに暴動シーンがニュースフィルムよろしく流れ、
しかも作品全編がモノクロ撮影。台詞がフランス語でなかったら、アメリカ発
の作品と見まがうアクの強い作品。言葉以外に違う点は、ブラックピープル
=Niggazよりはむしろアラブ系やユダヤ系など半アジア系のストリートピープ
ルがメインだということ。

　何もマシュー・カソビッツと言う人がSpike Lee辺りのフォロワーとして登
場した、と言う訳ではないだろう、ヨーロッパにも、エレガントな顔を持つパ
リという街の裏側にも、ブロンクスと同様の現実がある、と言うことを広く知
らせたかった、と言うことらしい。

　英語であろうとフランス語であろうと、ちょっとしたことにイライラカリカ
リしながら機関銃のように喋る台詞はラップのライムそのもの。日本にはまだ
このイライラはない（ピリピリはいっぱいあるけど（笑））、ただ、その裏を
返せば、在日中東系の存在がまだ社会的に認められていない、と言うことだけ
ど（彼らが家族を持って永住するようになったら話は変わるだろう）。

　いずれにしても、現実のピリピリした感覚を爆発させたい僕は、下手なサク
セスストーリーやラブストーリーより、こういう破滅型のストーリーの方が疑
似体験としてストレス解消になるみたい。

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