丹下左膳@新橋演舞場


<2004.12.25(Sat)>
 最近どこ行っちゃったんだろう、と思っていたら、ゴジラ松井との恋仲報道で
話題になってしまった酒井美紀さんのお芝居を観に新橋演舞場へ。主演は中村獅
童、なるほど、「HR」(三谷幸喜がテレビに初チャレンジしたドラマ)のとき
のコンビですね。
 今日クリスマスは忙しい、4件も予定があるのだ。先ず午前中は「Deep Love
ギャラリー〜アユが雪になった日」を観に池袋の西武ギャラリーへ。個人的には
もちろん岩佐真悠子ちゃん目当てで行ったのだが、確かにドラマのパネル写真に
は真悠子ちゃん=アユがいっぱいいたけど、基本的にはドラマのためのギャラリー
だったので、10分も観て回れば満足、と言う内容(写真以外だとドラマで使用
した制服くらい)。なるほど、「アユの物語」が終ると続編「ホスト」が始まる
のか。小説だと更に「パオの物語」なんてのもあるのか、ちょっと知識が増えま
した。で、昼にお芝居を見て、その後更に渋谷スペイン坂で行われている方の
「Deep Loveイベント〜アユが雪になった日」を観て、締めは川嶋あいクリスマス
ライブ@日本青年館。
 さて、新橋演舞場での観劇は初めて。銀座から歩き、東銀座の歌舞伎座を超え
て演舞場に到着。先ず弁当を買う。昼の観劇は食事も込みだからね。中ではプロ
グラム(1300円)や記念グッズ(手拭い1200円)も買ったが、何と言っ
ても演舞場オリジナル菓子なんてのもあって、おのぼりさんよろしく買ってしま
う(笑、栗あん菓子「芝居ざんまい」800円)。なんとこのお芝居、三幕まで
ある、つまり2回休憩があるのだが、30分と25分、そんな1時間近くも中休
み要らないって(笑)。
 丹下左膳と言えば典型的なチャンバラ時代劇。劇自体のファンは年配者に多そ
うだが、そうは言っても中村獅童人気がありますからね、若い女性も多い、いや
男性もいるぞ。Bボーイも引き付ける歌舞伎役者ってことか?内装も面白い、基
本的な構造はこれまで見て来た一般的な芝居小屋(帝劇、日生劇場あたり)と変
わらないが、提灯がぶら下がってるのがいかにも時代劇専用芝居箱だ。それと桟
敷にはテーブルの付いている席もあり、そこで弁当を頂くらしい。いや弁当以前
に、演舞場の中に複数のレストランがあるってのがビックリだ。こりゃきっと観
劇より食事の方がメインで来てる客もいるに違いない(笑、完全予約制で、1幕
後の休憩で食べるらしい)。
 さて本編。初っ端から驚かされた、先ずスクリーンに過去の丹下左膳役の映像
が流れるのだが、そのスクリーンを破って中村獅童丹下左膳が登場するのだ。当
然客席は爆笑、いやまいった、時代劇をなめたらアカン、と言う感じにガツンと
やられました。
 丹下左膳と言う人物は道場破りの浪人である。まぁいわゆるアウトローですな。
勧善懲悪の善人ではないのでオイラにも共感しやすいキャラクターだ。左膳の恋
人、お藤役には辺見えみり。彼女もかつては泥棒稼業だったと言う女性、気風の
よさがうまくハマッてます。で、肝心の美紀さんですが、荻乃役。左膳のライバ
ル、柳生源三郎のフィアンセのお姫様。美紀さんって「白線流し」の七倉園子役
と言う当り役があるにもかかわらず、最近の芝居経歴ではかなり時代劇が多いで
す(近々の現代女性役だと「明日があるさ」でのキャリアウーマンくらいだな)。
新橋演舞場は左手の方に突き出しがあるな、と思ったら、いわゆる花道でした。
つまり舞台左右からだけでなく、ここからも役者が出入りする、立体的に芝居が
進行するダイナミックなもの。そのこと以上に、左膳がときどき客席を意識した
セリフを吐くんですな。夫婦喧嘩で物を投げるのだが、それが客席まで飛んでし
まう。なのでお客にとってもらうために会話するので、客席は爆笑。時代劇と言
う虚構をいきなり現実に接続してしまうダイナミックさがまた生のお芝居の魅力
ですな。とにかく、東銀座と言う由緒正しい江戸芝居の街で観る芝居なのだが、
全然肩肘張らずに楽しめるのがスゴイ。どうもプログラムを観る限りでは、脚本・
演出がバリバリのテレビ畑の人らしい(水谷龍二、小野鉄二郎)。なるほど、だ
からわかりやすい演出なんだ。あと、与吉役の梶原善、彼もまた三谷ファミリー
な役者さん、ストーリー上は脇役に近いですが、喜劇としては彼の存在なくては
この芝居は成立たないほど重要な存在。
 終演後の挨拶でも獅童クン投げキッスですよ。とても歌舞伎役者とは思えぬス
タイルだが、これが悔しいほどカッコイイ。キザを見事に江戸っ子の粋に変えて
しまいます。面白かったです。さてその足で今度は渋谷へ(笑)。