真昼のビッチ＠シアターアプル

　今年は馬渕絵里何嬢の舞台も３本目かあ。シアターアプルなので軽めの
コメディかと思ったが（確かに笑えるシーンは多いのだけど）、実はかな
りディープな悲劇だった、ウゲ。
　主演は高橋由美子。いくつになっても“カワイイ”と呼びたくなる美貌
の持ち主ですが、彼女がこのトラジディの中心的人物なわけで、ある意味
アイドルホラーと近い衝撃がありました。
　シアターアプルと言うハコも、歌舞伎町のど真ん中と言う立地条件なが
ら、１０００人入りそうにない中クラスのハコで、実はこうしたアングラっ
ぽいノリの作品は多いのかもしれない、と思わせる。
　とにかく、登場人物の存在感と言うより、脚本そのものにものすごい迫
力を感じた。パンフレットを見ても長塚圭史はアッサリ書いたような印象
しか受けないが、まるで実際に自分の生まれた町を再開発で奪われた人た
ちの怨念を感じさせるようなリアルさが漂っていた。確かに最近の無闇矢
鱈な再開発は住民にとっては悲劇に違いない、と言うか、自分自身、六本
木ヒルズを初めて訪れたとき（もちろん朝帰りで）、自分がかつて遊んだ
町を奪われたような喪失感を覚えたことを覚えている。
　かなりショッキングなエンディングなだけに、終演後の舞台挨拶もクー
ルでアッサリしたものだった。ある意味、この舞台挨拶が映画と生のお芝
居を区別する重要な要素だと思うのだが、それがアッサリ終ってしまうと
いうのはこれもまた衝撃だった。