下妻物語@日比谷シネシャンテ3


<2004.07.07(Wed)>
 前回の「深呼吸の必要」が沖縄なら、こちらは茨城の田舎。こちらは確かに
思い切りマンガチックな構成でドタバタコメディとなっているが、共通のシン
プルな青春ストーリーとしてよく出来てる作品。
 なんなんでしょうね、40歳にもなれば“不惑の歳”なんて人は言うけれど、
いまだに迷いまくってますよ。ばかばかしくも分かりやすくてちょっと切ない
こういう青春ドラマが結構ハマルのです。観客の殆どが女性、と言うか、上映
期間も1ヶ月を過ぎ、日本映画だったらそろそろ終映が近いだろうと思って慌
てて見に来たのだが、ほぼ満員でビックリ。今年は「世界の中心で、愛を叫ぶ」
と言う邦画のビッグヒットがあるけれど、こうした小粒の作品(でもないだろ
うけど)にも何気にレベルが高い作品が多いみたい。(ちなみに「スイングガー
ルズ」の前売買ったらしい:-))
 もしかすると、今の若い人がこうして田舎に対して郷愁とはまた違う思い入
れを抱いているのは、“自分らしさ”を取り戻すためには情報の少ない世界の
方がいい、と直感してるのかもしれない。都会なんて情報が多すぎて自分を見
失いがちになるしね。沖縄の青空も素晴らしいが、下妻の空だって負けてはい
ない。ここでも珍しくロマンティックなエピソードは殆ど差し挟まれない。む
しろ“女の友情”が人間関係の最大のキーワード。かつては恋愛を映画や本が
若者に指南するテキストであったが、今の時代は反対に友情を指南する時代な
のだろう。でも確かにいい友情が育てられないといい恋愛もできないですから
ね。僕もそこから出直さなきゃいけないな、と思ってみたり(ウソ)。コミカ
ルなストーリーの中で、Tommy Heavenlyの曲が妙に切なくて泣けますね。川瀬
智子って何気にかなり素晴らしいソングライターですよ。