From sana  Fri Dec 15 09:03:46 1995
Date: Fri, 15 Dec 1995 09:03:39 --900
From: sana (Cazou "ACID" Sanada)
Subject: [movie-fans:00145] Serge Gainsbourg

	Stan The Flasher	directed by Serge Gainsbourg

  仕事で疲れた頭と身体で、更にこのようなおぞましい:-)映画をレイトショー
で観に行く、というのは、まあ正常な感覚の持ち主なら拒絶反応起こすでしょ
うね(笑)。基本的にはゲインズブールという名前に引かれて観に行った訳で
すが。

  映画脚本家で食っていけない英語の家庭教師が教え子のリセエンヌに言い寄
り、そのままセクハラで牢獄行き、出所したら妻にも離婚され、最後はフラッ
シャー(露出狂)になってピストル自殺してしまう、というゲインズブールら
しいお話。さすがゲンゲン(ゲインズブールの愛称)、リセエンヌのロリータ
美少女選択眼はハンパじゃない、ただ画面に映っているだけで強烈なエロチシ
ズムを巻き散らす。

  このロリータ美少女を観るためにこの映画を観に来ても良いのだが、それに
してはハゲデブオヤジのグロテスクなヌードを見せられるのはおそらく割に合
わないであろう(苦笑)。男性客からの見方としては、これは青春時代のカタ
ルシスを感じる映画だと思う。デートムービーの美男美女のロマンスストーリー
なんか観ても、別世界のスクリーンの向こう側に思い入れなど出来る男性(お
そらくまた女性も)はほんの一握りであろう。だからといって、ただ単に現実
を直視するような映画が娯楽として成り立つわけではないから、ペシミスティッ
クな物語の中にもあちこちにユーモア(フランスなんだからエスプリというべ
きか)が織り込まれている。ハゲデブオヤジだからといって、基本的にはニキ
ビ顔の青春時代となんら代わるところはない。むしろ妻がいたり社会的地位が
あったりなど、少年時代より問題がヘヴィになっている。オヤジはシェークス
ピア読みである。「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」という哲学的
悩みをいつも考えている男だ。変態野郎のリアリティが分かりやすくメタファー
されている。

  なにはともあれ、こういう珍妙なカタルシスはA級映画では味わえない。み
うらじゅんとか好きそうだな。

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