劇団四季ミュージカル「マンマ・ミーア！」＠電通四季劇場「海」

最近は映画より生舞台の方が増えてる感じ。:-)

　東友会のイベントと言うことで甘く見ていたら、やられました（笑）。
いい楽曲で華燭の少ない舞台がストレートに楽しかった、と言う印象。
ご存知の通り、アバのヒット曲を使ったミュージカル、ただしストーリー
はミュージカル用に新たに書き下ろしたもの。
　それにしてもすごいストーリーだ、だって結婚式にパパ“かもしれな
い”３人の男を招待するなんて。そういう（母親の）“ふしだら”な部
分に見事に目をつぶり（と言ったら悪いかもしれないが）、ハッピーエ
ンドに持っていくストーリーテリングの豪快さは、良くも悪くもまさに
アメリカンミュージカル（って、本当はイギリス産ですよ（自爆））。
でもまあ、それが幸せか不幸せかなんて、見る人それぞれが考えればい
いことなのであって、そういう考え方の違いを軽く乗り越えてしまうア
バの楽曲の良さに脱帽せざるをえないのだった。
　さすがに前半は、何しろＴ○Ｓで借り切っているような状態、回りの
雰囲気がどことなく落着かなかったが、集団の役者全員が歌うようなピー
クの部分を過ぎると、ステージに集中することができた、と言う感じ。
実のところ、７０年代と言う時代は、イーグルスやビリージョエルなど、
ポップでありながらも内省的な歌詞を持った楽曲が受けるシリアスな時
代だったわけで、当時においてさえアバの楽天性は一歩間違えればダサ
さに繋がっていたはずだった。それを乗り越えて一時代を築いたアーティ
ストになったのだから、今の時代に残っても何ら不思議ではない。まぁ
７０年代のビートルズ的存在だったのは認めざるをえない事実。
　ミュージカルなので、ストーリーを伝える必要上、全て日本語で歌わ
れる。実は結構過激な歌詞だったりするのですね（だから父親が３人な
どと言う突拍子もない物語にはまるわけね）。楽曲は当然馴染み深いも
のだから、その意味が分かる、と言うことで改めて新鮮な体験となる。
　ハコと劇団についても。先ず汐留シオサイトと言うのは初めて来た。
想像以上に人工的な都市だ。当然オイラみたいな人間は否定的なものと
して受け止める。だが観劇後に歩いてみると、それを肯定できるような
気持ちになっていた。高層ビルに夢をつぎ込んだ人たちの夢を少しは理
解しようと言う気になった、とでも言うのだろうか。それと劇団四季。
どうして四季の団員はこれほどまでに無名なのか？チームスポーツ、例
えばプロ野球だって、興味のない私のような人間でも大物であれば選手
個人の名前を知っているし、タカラヅカだってそうだ。プログラムを買っ
てみてみると、一人の役に３人の役者の名前がクレジットされている。
そうか、役者のローテーションによって成り立っていたからなのか。こ
の劇団は役者の個性は必要としない、チームプレイに徹しているからこ
その、ロングラン興行なのかもしれないな、などと思った（個人プレイ
には必ず限界があるからね）。四季には協賛企業が多いが、こういうチー
ムプレイは、組織を肯定している、と言う意味で企業もお金を出しやす
いだろうな。舞台下のオーケストラも、殆どがシンセサイザーで実は安っ
ぽそうである。しかしこれも“安定した”品質を提供する上では意外と
良い選択肢なのかもしれない。
　最後は例によって屁理屈を並べてみたが（自爆）、とにかく空回りし
ない派手さとパワフルさで観客を圧倒し続けるミュージカルを体験でき
て、本当に楽しかったです。これは決して懐古趣味ではない、逆に若い
人の方が感動してるはず。