水の女 杉森秀則監督

　とうとうこれで７週連続で週末に日本映画ばっかり観てる（笑）。
今日の目当ては何か？ずばり、銭湯である(^o^)。物語の舞台目当て、と
言うのも我ながらなかなか凄い。:-) なので、舞台挨拶はさほど重要で
はないはずなのだが、整理券配ってたのでもらってしまった次第。アイ
ドル系の舞台挨拶だとカメコな人たちが大勢集まるが、ＵＡと浅野忠信
ではそんなこともなく、渋谷の王道、サブカル系ヤングで賑わっていた。
銭湯映画らしく、パンフやサントラに混じって手拭いが売られていたり
するのがよい（もっとあってもよかったけど）。
　さて映画の内容、銭湯が神秘的な空間として描かれていて、ファンタ
ジックな映画。役者たちも、セリフの少なさの割に皆存在感がある。Ｕ
Ａなんて本業は歌手のはずなのに、女優としてもえらくオーラがあった
ので、驚いた。もちろん一番凄いのは無言の母役の小川真由美だけど。
　そして、銭湯好きの視点からもまた大変面白い映画。裏方仕事もさる
事ながら、実際に浴槽に足場を組んで背景画を描く光景、あるいは煙突
掃除夫の掃除風景などは、銭湯に毎日通っているからと言って見れるも
のではない。
　もちろん、だからと言って銭湯オタクのための映画ではない。逆に言
うと、銭湯に関心のない人たちに銭湯をアピールしてくれるすごくいい
映画。ロケに使われた銭湯は大田区・明神湯（外観）、墨田区・長生湯
（店内）。明神湯の立派な破風造りは何度もスクリーンに登場し、銭湯
の持つ独特の威厳を繰り返しアピールしているし、青空に向けてすっく
と伸びるあの煙突も、かつて町のシンボルとして機能していた頃の象徴
性がある。
　あと、この映画、意外とギャグ作品だと思った。誰も笑っていないの
だが、あの“ぼんち”おさむがチョイ役で出ていたりする。ゲラゲラと
笑うほどではないが、クスッと笑えるシーンは結構あったと思う。銭湯
研究家・町田忍先生がチョイ役で出ていたところもクスッて感じ。
　それにしても、映画館を出たところで、朝あれほど晴れていたと言う
のに小雨が降ってきた。ＵＡと言う人、本当に“水の女”なのかもしれ
ない。その後すぐに晴れて、代々木公園を歩いている頃にはあの煙突の
先に広がっていたような青空が戻っていた。