From sana  Mon Feb  5 13:01:59 1996
Date: Mon, 5 Feb 1996 13:01:54 --900
From: sana (Cazou "ACID" Sanada)
Subject: [movie-fans:00167] Manoel De Oliveira

	O Convento	メフィストの誘い	directed by Manoel de Oliveira

  このマヌエル・デ・オリヴェイラ監督、もう８６歳だというのにこんなに官
能的な映画を作ってしまう。真田流に言えば「尊敬すべきスケベ好々爺」と言っ
たところだろうか。

  官能的とは言っても、この映画にベッドシーンはない。イギリスから来た大
学教授夫妻と、遺跡博物館の研究員達によるＷ不倫という、舞台設定が余りに
優雅すぎてとても幻想的な味わいになっている。森すらもセクシーと思わせて
しまう映像美、そしてこの映画、構造的にミョウで面白い。グバイドゥリーナ
や黛敏郎と言った現代音楽家たちのスコアの使い方はまるでホラー映画だ。

  以前観た「アブラハム渓谷」は「ポヴァリー夫人」を、そしてこの作品は
「ファウスト」を、と、ヨーロッパの古典をモチーフにしているが、本質的に
悪趣味なところが好きだ。というか、明日の糧も分からぬ若者のパワフルな恋
愛とはほぼ対極に位置するのがこうした地位も身分もある大人達の密かなゲー
ムとしての恋愛であろう。そうした究極例を提示されることで、観客は恋愛の
本質を探っていく手掛かりになるのだと思う。教授夫人のCathrine Deneuveの
５０を過ぎても衰えることを知らない美貌もさることながら、研究員のLeonor
Silveiraの吸い込まれそうな瞳は本当にヤバイくらい魅力的で、まさに「悪魔」
というのがふさわしい。有閑マダム必見（笑）の一品。

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