From sana  Mon Feb  5 09:05:35 1996
Date: Mon, 5 Feb 1996 09:05:17 --900
From: sana (Cazou "ACID" Sanada)
Subject: [movie-fans:00166] Krzysztof Kieslowski

	Decalog	第３話：クリスマス・イヴに関する物語
		第４話：父と娘に関する物語
		directed by krzysztof Kies'lowski

  キエシロフスキの珠玉の名作「殺人に関する短いフィルム」と「愛に関する
短いフィルム」が生まれたＴＶドラマシリーズが日本公開とあっては見逃すわ
けにはいかない。テアトル西友って多分会社から一番近い映画館だと思うし
（徒歩１５分くらい）。

  「クリスマス・イヴ」といっても、トレンディドラマのような若い男女の物
語ではないが、男と女の孤独感の掘り下げ方はトレンディドラマ以上。昔恋人
だった家庭ある中年男女が寒い夜の中ドライブする、というお話（思い切り端
折ってますが）。途中寝ちゃったので（悲）、ちゃんとした感想書けませんが、
ズビグニェフ・プレイズネルのサントラが素晴らしい！

  「父と娘に関する物語」、結構ヤバイ話を実にシリアスに描いている。シリ
アスであるとはつまり、一般に他人事のように思われがちなこの手の事件を、
その鋭い語り口で観客自身その物語の当事者として引き込んでしまう手腕のこ
とである。

  娘が実の娘でない、ということはそれ自体不幸だとは思わない。その事実を
当事者がどう扱うによるだろう。多くの場合、産みの親が育ての親と異なって
いても子供が大きくなるまでそのことを知らされなかったりするわけで、中に
は一生そんな事実を知らずに過ごす人だっているはずだ。これが日本的ホーム
ドラマだったら親戚縁者がしゃしゃり出て話がややこしくなるが、このドラマ
では父と娘（とこの場合言っていいのか？）が正面切って対話することがストー
リーの骨格となっている。

  しかし、キエシロフスキは両者の内面を深く掘り下げたりはしない。あるの
はあくまでも両者の対話だけ。ドキュメンタリー出身映画作家ならではのシン
プルで普遍性を帯びた描き方。二作とも１時間に満たない簡潔さがまた良い。

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