From be1773@ni.bekkoame.ne.jp  Sat May  8 01:21:43 1999
From: Cazou ACID Sanada 
Date: Sat, 08 May 1999 01:24:11 +0900
Subject: [movie-fans:00100] 富江
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	富江		及川中監督

 菅野美穂が出るホラー映画と来て、ピンと来た。「エコエコアザラク」
で強烈な恐怖を感じさせてくれた菅ちゃんが再びホラーで主演というの
だから、これは絶対に面白いと思った。そしてもちろん予想通りの面白
さだった。
 原作は伊藤潤二と言う人のコミック。そんなわけで、ホラー好き少女、
アイドル好き少年らオタッキーな人種が観客として集まるのは分かるの
だが、よく分からない中年オヤジや特にヤバイとも思えないごく普通の
カップルもこぞって映画館の前に列を作っているのを見ても、世間一般
でもかなりの評判なのだということが分かる。別にホラーでなくたって、
レイトショーに集まる人種って普通は偏りが激しいのだが、こんな映画
にこんなにベクトルに違う人種が集まってくることには結構驚いた。
 先ず、ストーリー展開の巧みさに感心したのは久しぶりだ。基本的に
は芸術映画指向なところがあるので、物語なんかどうでもよくて、映像
と音楽の絡み合いみたいなものが素晴らしければそれでよし、などと思っ
てしまうのだが、得体の知れない魔物ではなく、富江を狂愛する少年が
箱の中でペットよろしく飼い慣らし、あっという間に大人になる、と言
う展開は新鮮だ。たまごっち感覚の化け物ってところか。「富江」と言
う名前の古臭さ≒日本的感覚もよい。ゆっくり怖さが進んでいくのは、
それ自体が物語である。見終わった後も、結局富江とは何だったのか、
と言う疑問と共に、残響が残る作品である。
 こういう役にチャレンジする菅野ちゃんってやっぱりすごいと思う。
もちろん年齢的成長に合わせて、大人の役に挑戦するアイドル女優は沢
山いるが、そういうのとは全く次元の違う、アイドルそのものの壁を軽
やかに突き破ってホラーの悪役に身を投じる気風の良さはかなりの驚嘆
ものだ。まぁこれで引いちゃうファンも出てくるのだろうけど、僕は彼
女がヘアヌード写真集を出したのと同様、その過激なまでの挑戦意欲に
拍手を贈ってしまうのである。

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Cazou ACID Sanada
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