From be1773@ni.bekkoame.ne.jp  Sat Apr 24 19:09:28 1999
From: Cazou ACID Sanada 
Date: Sat, 24 Apr 1999 15:21:08 +0900
Subject: [movie-fans:00099] Theo Angelopoulos
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	永遠と1日		directed by Theo Angelopoulos

 地中海の風景に私はイビサ島旅行の風景を重ねずにはいられなかった。
明らかにそこは日常とは違う時間が流れている。人生を問いかけるには、
そうした時間が必要だ。
 死期を間近に控えた老人とストリートチャイルドが旅する物語。少年は
アルバニア難民、コソボと同様の政情不安の犠牲者、つまりアメリカでベ
トナム戦争映画が作られるのとは違う、リアルタイムのポリティカルな背
景を持った作品。
 人生を考える時、言いたいことが沢山出てくるのだけれど、それが言葉
に出てこない。主人公は詩人で、旅の途中で少年や通り掛かりの人たちか
ら言葉をもらい(物語中では「言葉を買う」と言っている)、詩吟するが、
それ以上に雄弁なのが映像とサウンドトラック。映像は、テオ・アンゲロ
プロスファンにはお馴染みの静謐なロングショット。観る者に考える間を
与えるためには、超特急のような勢いでストーリーが進んではいけない
(日本に、東京に住んでいてしんどく思うのはまさにこの点。この都市は
私に考える時間を与えてくれない)。音楽はといえば、止めどもなく切な
いメロディ。
 幻想的ではあるが、ファンタジーではない。夢想ではなく、人生観に静
かな鐘を鳴らすような作品。客層はかなり年齢層が高く、人生の黄昏にこ
うした文芸作品を楽しむ、と言うのもいいのだけれど、私は周囲が人生の
黄金期(=働き盛り)を突っ走っている中で、あえて立ち止まって考える
必要を感じていた。そんな風に考える人なら、10代で見ても決して悪く
はない映画。

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Cazou ACID Sanada
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