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栗山富男 監督
松山善三 原作・脚本
<2000.11.25>
 老人性痴呆症を扱ったドラマとして、一般の映画館公開以外にも各地の
社会福祉関係の公共機関により上映会が開かれていて、オイラも千代田区
の社会福祉協議会主催の上映会で観てきました。と言うわけで基本的には
入場無料、ただしチャリティと言うことで千円ほど募金しておきましたが。
 予想通り観客の9割は地元のお年寄り。しかし高齢者福祉問題って、若
い人も共有しないと意味ないんじゃないかなあ、と偉そうな独り言(笑、
私だって酒井美紀さん出演じゃなかったら観てなかっただろうに:-))。
お茶の水YWCAのカフマンホールと言う会場だったが、映写機が座席後
部にドンとあるのがいかにも自主上映、って感じでいいっすね。
 さて、そんなお固いテーマを扱った作品なので、娯楽性と言う点でどう
なんだろう、と言う不安があったが、全然そんなことはなくて、娯楽作品
としてもとても楽しめた。まぁ痴呆老人の行動のコミカルな部分を悲観的
にならずに切り出したのがうまいのかなあ。
 と言うことで美紀さんについて語らせてもらいます(笑)。とにかく素
敵な女性でした。ピアノの先生をやりながらピアノコンクールを目指す女
性の役。ショートヘアにメガネをかけた姿は才色兼備の女性そのものって
感じです。彼氏役の男性もいるにはいますが、それよりも痴呆症のオジイ
チャンに注ぐ眼差しが優しいんですね。演技と言うこと以前に、こういう
福祉問題を扱った映画に積極的に参加すると言う姿勢が、やはり自己中心
的な近頃の女性にはない懐の大きさを感じさせて、異性としてはもちろん、
人間として憧れてしまいます。
 ラストは小林念侍さんのセリフが泣かせます。高齢者問題に混じって障
害者問題も最後には出て来ますが、健常者が見えにくい視点を非常に分か
りやすく説明してくれるんですね。隣人の痛みが自分の痛みになる、そう
いうことを分からせてもらうだけでも、この映画は見る価値があると思い
ます。