白線流し・２５歳

　自分にとっても同窓会みたいなドラマ、でも実際の同窓会よりも、
みんなの成長が感じ取れて嬉しくなってしまう。園子も、言ってる
ことは昔と変わらないのに、いざという時に大人の振舞を見せた、
そしてラストのあの慟哭。
　以前のスペシャルだと、高校時代はそれでもよかったけれど、ど
こか照れ臭い中途半端さ（もちろんそれが大人への成長の途中段階
なのだけど）を感じていた。でも今回の７人にはそれなりに社会の
経験を積んで自信が表情に出ている、それが微笑ましい（今も青臭
いところがみんなカワイイけどね）。７人にとっても、役者として
の演技であると同時に、ドラマの中の人物を共に生きているかのよ
うに、初々しさと切なさと優しさと、その他もろもろの感情が生き
生きとしている。
　ドラマの要は言うまでもなく、園子が渉の結婚を聞いたところに
なると思うのだけど、最初、相変わらずまどかや冬美にからかわれ
るほど考え方に幼さを残していた園子がまどかからの言葉を軽く聞
き流し、大人の振舞をしたことについて、やっぱり園子も大人になっ
たんだな、と単純に思ってしまった。いや、確かに園子は大人になっ
ていて、あの最後の慟哭は、実際には老夫婦がパートナーを失った
ときと同じくらい、青春の終りの一コマなどと言うちっぽけなもの
ではなく、もっと大きくて強い愛の証に思えて、深く共感した。も
ちろん、渉の言葉も、もしかすると女の子の立場から見たら体のい
い言い訳にすぎないのかもしれないけれど、言葉足らずながらも説
得力のある選択だと思った。ただ、渉の結婚、となれば、茅乃の反
応も見てみたかった気がする（２時間の枠では入らないのだろうけ
ど）。
　あと、気になるのは長谷部。高坂君を疑ったことを詫びに松本ま
でやってくる。少なくともこのシーンを観ると、切ないくらいに彼
がまだ純粋であることを見せてくれる。慎司やまどかがはやしてい
たけれど、ひょっとすると園子と結婚するのは？と匂わせるような
展開が期待を持たせる。国村準演じる浮浪者もいいよね、“ＨＲ”
仲間がヒョコっと顔を出しているのが嬉しい。
　なんかドラマ評論家みたいなことを書いてしまった。でも誓って
言うが、物を食べたりしながらの「ながら見」ではなく、きっちり
とテレビ画面に向ってドラマを見たのは本当に久しぶりのこと。ビ
デオにも撮ったけど、多分録画だと最初から最後まで通しで見る機
会は今後ないだろう。テープは巻き戻せても、時間はまき戻すこと
は出来ないから。
　このドラマにはまった頃の八方ふさがりの状況に比べると、現在
はすこぶる順調なので、それだけ思い入れは弱くなっているのが正
直なところ。その一方で、主題歌の「空も飛べるはず」が今時の高
校生にもスタンダード（金八先生の「贈る言葉」などと肩を並べる）
になっている、と聞いて、オヤジの回顧趣味ではないことがなんだ
かウレシイ。なんか久しぶりにこの秋は、尾上の湯にでも行ってゆっ
くりしたいな。