写真集「EL TIEMPO」感想

久々に語りモード。(^.^)

　異国の地で際立つ彼女の“大和撫子”としての美しさなのか、それとも
芸能生活１０周年を経てなお、異国の燦燦と輝く陽光の下で輝く彼女の
“初々しさ”なのか。
　彼女は今も“アイドル”なのか？それとも“女優”なのだろうか？芸能
界のポジションで言えば、多分後者。だがこの写真集ではその答えをあえ
てぼかされたように感じる。
　もちろんこの写真集はいわゆる“アイドル写真集”の範疇とは言えない
だろう。そうではなく、ここにいるのはブラウン管やスクリーンのために
“演技”している女性ではなく、“素の酒井美紀”が映っていることに
“アイドル”とあえて呼んでみたくなる。
　最近のアイドルは、“天然”などといかにも自然っぽく語られているが、
その裏でそのキャラクターはものすごく作り込まれているような印象を受
ける。たとえその個性が実際のものだとしても、ブラウン管を通して強調
されることで、それはウソになってしまう。
　美紀さんはこの写真集で、いい意味で“没個性的”である。つまり、無
色透明、いつまでも変わらぬ初々しさを保っている、と言うこと。なぜ彼
女が撮影ロケーションにスペインを選んだか？もちろん説明的に言えば、
「十七才」の時に出会ったアントニオさんご一家に会うため、と言うこと
になる。その一方で、スペインと言えば“原色”の国、真っ赤なサルビア、
黄色いヒマワリ（残念ながら写真集にヒマワリは登場しないが、だが黄色
をモチーフとしたショットが多数ある）、そして青い海。そうした強烈な
原色に違和感なく溶け込む美紀さんを見て、あぁ彼女はいつまでも何色に
も染まらない無色透明な人なんだな、と感じた。ウソがない、という以上
に、ウソという概念そのものが存在しないかのごとき、原色と溶け合って
美しさを増す透明感。
　美紀さんの“無色透明、汚れのない個性”をもう１冊のエッセイ集で確
認することができる。人との出会いを大切にする美紀さん、自らを木に例
える素朴な世界観。日差しの中でランチを取る風景に、華燭の全くない至
福を見て取れる。世間で“癒し系”と呼ばれるものは数あれど、彼女の価
値観はその核心ではないだろうか。
　多分、この写真集は私にとって今年一番の癒しグッズ。汚れのない個性
から生まれる美しさは時々忘れてしまうこともあるけれど、お休みの前に
枕元に置いておくだけで、幸せになれる宝物。

写真集中に登場するスペイン語のフレーズを、拙いながら訳してみました。
理解を深めたい方のご参考になれば。

(in the grassfield)
Quiero manteneme siempre	いつまでも
natural e inocente		自然で無垢な自分でありたい
como las flores se dejan	花が風に身を任せて
mecer por el viento.		たゆたうように

(watching a bullfighting)
El torbellino			情熱に解き放たれた
desatado por			つむじ風が
la pasio'n levanta una		大きな星を
gran nube de polvo.		取り払う
Las miradas			１つになった
unidas captan			視線が
el momento u'nico.		一瞬を捕らえる

(riding on the bicycle)
Mientras			私の足は			
mis pies			ペダルを踏む
pedalean,			その一方で
los paisajes			風景が
desapareoen			見えなくなる
dejando sus			その輝きを
esplendores.			放ちながら

(a cow's headbone)
Siento				ほんの軽い
una ligera			はるけき思慕を
an'oranza			感じている
por el				今はもう
tiempo				過ぎゆきた
que se va.			時間の中に

(view from the top of the castle)
Nuestras vidas			私たちの人生
estan envueltras		それは都会に
por la ciudad y			埋もれている
el aliento de la ciudad		都会の呼吸は
esta' cefido			空に向って
por cielo.			息付く

(in the flamenco club)
El final de			夢の終り
un suen‾o es			それは
el comienzo de			明日の始まり
man‾ana