白線流しスペシャル〜２１歳の風〜

　前回のスペシャルも友情の危機が訪れて辛口の物語だったが、今回
も不景気があり、大人と子供のはざまの現実の厳しさが物語の柱になっ
ている。普遍的な悩みで身につまされるような内容なのに、想い出の
ように美しいドラマ。深刻な話なのに、言葉にならない部分で希望が
あり、前向きに生きる７人の姿は卒業して３年経っても変わるところ
がないからだと思う。北アルプスの風景みたいに。
　ドラマの前半で「偽善者」と言うセリフが２回出てくる。彼ら彼女
らのピュアネスを疑う人たち。自分だってちっぽけな存在だから、そ
の場にいてもそれに反論する言葉が出てこないだろう。「死」を口に
する人たちも。そうした暗さが過激な刺激ではなくドラマの芯として
観る者に問い掛けてくるのが素晴らしい。
　評論っぽい話はこの辺にして、とにかく愛も友情も持ってる彼ら彼
女らが好きだし、うらやましい。他人の悩みを真剣に引き受けようと
する者。家庭教師をしている女の子の悩みを引き受けようとする園子。
資金繰りに悩む以前の勤め先の社長に再就職先を進める渉。それが最
初は裏目に出てしまい、悩む２人。反対に、同情を嫌う冬美、冷めた
目で捨て台詞を言う優介。「偽善者」と言われても、目の前で困って
いる人がいたら助けずにはいられない、と答えた渉。なんかこのドラ
マって、そういう当たり前のセリフが心にしみて来るよね。目で会話
している内容も、すごく伝わって来る。落ち込んでた冬美が元気を取
り戻したのが、今回のドラマでなんだか一番ホッとして、こっちまで
嬉しくなった。もちろん園子の真剣な涙も、まどかの昔と変わらない
笑顔も最高。:-) なんか元気出てきました。