プレゼントをあげる／吉野朔実

　ということで、まなみさんご推薦の本を見つけてきました。風邪も辛く
て、雨で底冷えのする日の会社帰りに渋谷の本屋で見つけ、帰りのバスで
一気に読みました。
　久々に素直な気持ちになれる本に出会った、と言うか、大人のための童
話、と言った趣の本。基本的には女の子の気持ちを描いた物語ではあるけ
れど、男の自分にも、日常の中の小さな幸せを大切にしなきゃなあ、と感
じました。
　決して子供の恋ではないのだけれど、過去があっても泥臭くなく、日常
の中の何気ない出会いで生まれた素朴な感情を大切にする、と言う感覚。
エゴがなくて、第三者の立場（読み手）から見ても思わず応援したくなる
ような素敵な恋。「一目惚れはしません」とまなみさんがおっしゃる感覚
の元はこれなのかな、とかいろいろ解釈してみたり＞日ごろの出会いを大
切にする感覚。
　情報の多い時代だから、学ばなければならない事柄は余計な情報の中に
埋もれてしまいがちだけど、まなみさんのような人はそうした情報に流さ
れることなく、生きる上で大切なことが何かを分かっているから、こうい
う地味だけど素朴で素敵な本を見つけてこれるのだなぁ、としみじみ思い
ながら、本を閉じたのでした。