先ずは、クレーマーと言う人種がどんな意図でクレームをつけるのか、その描 写がリアルに分かりやすくて、さすが直木賞作家だ、とうなる（本気で仲間を思 いやっている善意の暴走とはコワイ話！）。しかしタイトルからするとクレー マーの描写は脇役のようだ、本題はクレームつけに行った中古車販売店の事務の 女の子が主人公の中学同級生と言うところから始まる。よくある話だ、学生時代 は地味だった女の子が久しぶりに会うと妙に色っぽいことが。もちろん安っぽい ドラマのように何か起こる訳もなく、これまた合コンで意気投合しかけたもの の、後押しするきっかけに恵まれずに終わってしまうと言うどこにでもある話。 読後のカタルシスがまるでないのは退屈。これはこれで詩情を感じる読者もいる のだろうが。