Date: Fri, 20 Feb 2004 05:38:43 -0000
Subject: [lives-after-lives] [読書感想 ] 綿矢りさ「蹴りたい背中」

もいっちょ芥川賞受賞作品。

　読み始めはちょっと古臭いと思った。逆に言えば、以下にも芥川賞
らしい作品に思えた。孤独を愛する青少年のドラマは昔からあるもの
だし、内容的にも大きな展開はなく淡々としている。
　しかし、このようなアンビヴァレントな感情表現はやはりすごい。
僕もどちらかと言えば孤独を愛する類の人間だが、だいたい孤独を愛
する人間と言うのは自分の複雑な感情を言葉で表現できないものだ。
それを表現しきったのがまだ若干１９歳の女性と言うのだから。もっ
とも、歳を取ったら取ったでアンビヴァレントな感情自体が失われて
いくのだろうけど。
　ただ、作者自身が最年少受賞だとか、ルックスも悪くないとかで、
作品と関係のない形で注目を浴びてしまっているのはやや気の毒だ。
僕個人は圧倒的に金原ひとみの方が気に入ってるけど。