どうやら今の自分の境遇とそっくりな人物が主人公の物語らしいことを聞き、 読んでみた。去年の暮れ頃だったら平積みされていた本だが、今では白い表紙に 青い十字架が描かれた表紙は書店を３軒ほどハシゴしてようやく見つかる有り 様。 残念ながら、ファンタジーの色合いが強く、自身の現実的苦悩とは程遠いな あ、と言うのが正直な感想。実際に日の当たらない人生を40余年生きた人間のリ アリティを20代後半の若い作者にあっさりと描かれたら、それこそ死にたい気分 になるが（汗）。 僕は苦悩はしても実際に死にたいと思った訳ではないので、生命の価値と肉体 の価値、と言う切り分けはよく分からない（おそらく絢香さんとシェアした苦悩 からこの発想が生まれたのではないか）。しかし、死んだ後に誰かの身体に自分 の身体の一部が生き長らえて行くことはまぎれもなく人と人とのつながりの話で あり、やはりそこにあるのは生命だ。結局、命とは、人と人とのつながりの中で 確認されるべきもの、と言うことを追認する物語。