BEAT BALL

 1. intro "BEAT BALL"
 2. Com'on! Be My Girl!
 3. Let's get back your Love (album version)
 4. Nice Vibe! <feat.BETCHIN' with m.c.A・T>
 5. We can't stop the music
 6. Back To Your Heart
 7. One and Only (album version)
 8. SOUL ALIVE
 9. Little Loneliness 〜しあわせの隙間〜
10. Joy My Life
11. TRIBE OF LOVE
12. No Cry, No more Cry 〜What is Freedom?〜
13. I Wonder...
14. Mo' Fight! Mo' Bright!
15. outro "BEAT BALL"

感想
　サードアルバム、確実にダパンプの４人の成長が感じられる作品。個人的には
彼らが１０代だった頃よりコンセプトが明確になってきたな、と言うことが実感
される。そのコンセプトとは、「ヒップホップやＲ＆Ｂと言うフォーマット上で
“男のダンディズム”を具現化すること」だと勝手に解釈している。黒人音楽を
消化している若いアーティスト自体が少ない中で、ロックが世良正則＆ツイスト
の頃から２０年かかってグレイやラルクのように築き上げたダンディズムを、彼
らはすでに発展途上とは言えある程度の完成度で「黒人音楽的ダンディズム」を
作り上げてしまったことに驚愕せざるを得ない。ロック以外にも、チューブ的、
サザン的夏っぽさをも備えた、つまりニューミュージックのフィールドとも対比
しうるブラックミュージックのフォーマットのＪポップへの消化をしているのだ。

　とりあえずこれまでの２枚のアルバムは、１枚１枚のシングルを一生懸命歌っ
て踊ってきました、その集大成としてアルバムを出します、と言う初々しさで成
り立っていたが、今回は単純にそうしたシングルヒットの延長上のアルバムでは
なく、上記のようなきちんとしたコンセプトが出てきた作品だと思っている。そ
の結果として、チャートの１位と言う数字の記録にしてみせたのも本当にすごい。
実際、彼らのやっているサウンドはヒップホップとは言え、ニュージャックスイ
ングと言うややオールドスクールなサウンドで、Ｂボーイ的な要素は薄い。これ
はもう確実にダパンプならではのオリジナル、と言っていいのではないだろうか。

　ダパンプと言うグループはお茶の間の人気者である。つまりマニアックなヒッ
プホッパーと違い、一部のマニアの間で受けてればいい、と言う姿勢は許されな
い。そこにあるのは一般受けのための“妥協”ではない、幅広い人に受け入れて
もらうためのポピュラリティの挑戦である。ブームでＲ＆Ｂやヒップホップのフォー
マットでデビューするアーティストが増えている中、きっちりとエンターテイン
メントを追求している人間が皆無、と言う状況の中（あの宇多田ヒカルや倉木麻
衣ですら、ＴＶ出演が少ないと言うことを考えると、エンターテインメントを真
剣に考えているとは言い難い）、彼らは本当に唯一無二の存在だ、と言う確信が
できるのである。こうした完成度のアルバムを出した今、TOUR2000のステージが
非常に楽しみである。個人的には、ちょっとファニーなテイストのあるレゲエナン
バー"Joy My Life"がフェイバリット。

<2000.08.10>